1. 片頭痛とは?

片頭痛とは?片頭痛とは重度の痛みを伴い、突然発生し脈を打つように痛む発作性の頭痛です。 片頭痛と呼びますが、片方で痛みを感じる人もいれば、両方で痛みを感じる人もいます。

激しい頭痛とともに視界の異常光や音に過度に敏感になり、嘔吐や悪寒などを伴うことがある症状です。

 

片頭痛が発症すると起きていることもできないほどの重症になることもあります。

光のない暗い静かな部屋ですぐ安静にして横になると良くなることが多い症状です。逆に安静にしないと倒れてしまったり、頭痛がひどくなり嘔吐や下痢をしてしまうこともあります。

安静にして眠ると、起きた時には頭痛があったことが夢のように正常な状態に戻っていることが多い症状です。

片頭痛は、一度発症し出すと人によっては1週間に1回ほどから数ヶ月に1回、或いは1年に1〜2回などのペースで再発します。片頭痛は改善することもありますが、症状が持続することもあります。

片頭痛が引き起こす激しい頭痛は、数時間から数日間続くことがあります。

片頭痛は発生するタイミングは定かではないことから、患者はいつまた発症するかと不安を抱えていることが多い状況に置かれています。

アメリカ片頭痛協会によると、片頭痛は3600万人のアメリカ人、つまり人口の約12%に影響を与えます。日本ではおよそ8.4%、840万人が片頭痛を持っているという調査結果があります。

片頭痛は感覚的な前兆や他の症状が先行することがあります。このタイプの片頭痛は「前兆のある片頭痛」と呼ばれ、20〜30%の人に発生するとされています。

前兆のない片頭痛」はより一般的であり、70〜90%の方がこのタイプの片頭痛を持っているとされています。

「前兆のある頭痛」は、視覚障害の閃輝暗点(せんきあんてん)に続き、頭の片側か両側に重度の痛みを伴う頭痛が起こります

片頭痛は15歳から55歳の人々に発症する傾向があります。

片頭痛の発作は、数時間から数日間重大な痛みを引き起こす可能性があります。

薬は片頭痛を予防し、苦痛を少なくするために役立ちます。

片頭痛でお悩みの方は、さまざまな片頭痛治療オプションについて医師に相談すると良いでしょう。適切な医薬品を服用することは、痛みや発作に伴う嘔吐や他の症状を和らげるために役に立つでしょう。

2. 片頭痛の症状

片頭痛は子供の頃から思春期に、または成人初期に始まることが多いとされています。片頭痛は4つの段階を経て進行します:前ぶれ、前兆、頭痛、後症状(ポスト・ドーム)ですが、すべての方が全ての段階を経験するとは限りません。

1) 前ぶれ

片頭痛の1〜2日前に、次のような片頭痛の前ぶれが微妙に表れることがあります。

・便秘

・気分が憂うつに感じたり幸福感を感じたりと変化しやすい

・ある食べ物をむしょうにたべたくなってしまう

・首筋の硬さ

・のどの渇きや排尿の増加

・頻繁なあくび

2) 前兆

片頭痛の前兆として最もよくみられる症状が閃輝暗点(せんきあんてん)になります。

閃輝暗点(せんきあんてん)は片頭痛の前または最中に起こることがあります。

閃輝暗点(せんきあんてん)は英語ではオーラ(aura)と呼ばれる神経系の症状です。通常、光の点滅または波状のジグザグなど視覚障害がおこります

閃輝暗点は、強い光、写真のフラッシュを見た後のように視界の中である一部分が見えなくなり、徐々にその部分が広がったり、一時的に目がよく見えなくなってしまうなどの症状です。人によっては一部分がぼやけて見えたり、全く見えなかったりなど様々な視界異常の種類があります。

前兆の症状は、感覚、運動または発話障害として表れることもあります。

筋肉が弱くなったり、まるで誰かが触っているように感じることがあります。

これらの症状は通常徐々に始まり、数分にわたって症状が悪化し、20〜60分間持続します。

片頭痛の前兆の例としては次のような症状があります。

・さまざまな形、明るい点または光の点滅などの視覚現象

・視力喪失

・腕や脚にピンや針にさされるような感覚

・顔や体の片側の感覚の弱さやしびれ

・話すことが難しい

・騒音または音楽が聞こえる

・制御不能な痙攣または他の動き

 

3)発作

片頭痛は治療を行わない場合、通常4時間から72時間続きます。

頭痛の頻度は、人によって異なります。偏頭痛が頻繁に起こることはまれですが、月に数回発作が表れることがあります。

片頭痛の際には、次のような症状が現れます。

・頭の片側または両側の痛み

・脈打つ痛み

・光や音、時には匂いや触感への感受性が過敏になる

・吐き気と嘔吐

・ぼやけた視界

・頭がふらふらし、倒れることもある

 

4)後症状(ポスト・ドーム)

ポスト・ドーム(後症状)と呼ばれる最終段階は、片頭痛発作の後に起こります。疲弊し、疲れ切ったように感じることもあれば、高揚感を感じる人もいます。

片頭痛後のおよそ24時間の間に、次のようなことを体験することがあります。

・混乱

・気分が変わりやすい

・めまい

・弱く感じる

・光と音に過敏になる

 

片頭痛はしばしば診断されず、未治療のままでいることがあります。

片頭痛を貧血や他の病気だと自己診断してしまっているケースもあります

 

定期的に片頭痛発作の徴候や症状を経験する場合は、発作の治療方法を覚えておいてください。

次に、頭痛を治療ために医師に相談してください。

 

より深刻な医学的問題を示唆する次の徴候や症状がある場合は、すぐに医師に相談するか、救急室に行ってください。

・突然起こる重度の頭痛

・発熱、肩こり、精神錯乱、発作、二重視力、衰弱、しびれ、発声障害の頭痛

・頭部外傷後に頭痛が悪化した場合

・咳、運動、緊張または突然の動きの後に悪化する慢性頭痛

・50歳以上に初めて経験する頭痛

3. 片頭痛の原因

片頭痛の原因はまた完全に理解されていませんが、遺伝や環境的要因が重要な役割を果たしているようです。

片頭痛は、脳幹の変化および主要な疼痛経路である三叉神経との相互作用によって引き起こされる可能性があります。

神経系の痛みを調節するのに役立つセロトニンを含む脳化学物質の不均衡も関与している可能性があります。研究者たちは依然として片頭痛におけるセロトニンの役割を研究しています。

片頭痛発作時にセロトニン濃度が低下し、これにより三叉神経が神経ペプチドと呼ばれる物質を放出し、脳の外皮(髄膜)に移動します。その結果、片頭痛が生じるとされています。片頭痛に関わる他の神経伝達物質は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)になります。

4. 片頭痛を引き起こす誘因

いくつかの誘因が片頭痛を引き起こす可能性があります:

・女性のホルモン変化

エストロゲンの変動は、多くの女性の頭痛を引き起こすようです。片頭痛の病歴のある女性は、エストロゲンが大幅に低下した時期の直前または直後に頭痛を訴えることがよくあります。

他のケースでは、妊娠中または閉経期に片頭痛を発症する傾向が強まります。

経口避妊薬やホルモン補充療法などのホルモン療法も片頭痛を悪化させる可能性があります。しかし、一部の女性では、これらの薬剤を服用する際に、片頭痛の発生頻度が低くなることがあります。

・食品

チーズ、塩分の多い食品、加工食品は片頭痛の原因となることがあります。

食事を抜いたり断食をすることも発作を引き起こす可能性があります。

・食品添加物

多くの食品に見出される甘味料アスパルテームおよび保存性グルタミン酸ナトリウム(MSG)は、片頭痛を引き起こす可能性があります。

・飲み物

お酒、特にワインや高カフェイン飲料は片頭痛の原因となることがあります。

・ストレス

職場や家庭でのストレスは片頭痛を引き起こす可能性があります。

・感覚的刺激

明るい光と太陽の眩しさ、大きな音などは片頭痛を誘発する可能性があります。香水、シンナー、間接喫煙などの強いにおいは、一部の人に片頭痛を引き起こすことがあります。

・睡眠パターンの変化

睡眠不足や寝過ぎは、時差ぼけのように片頭痛を引き起こすことがあります。

・身体的要因

性行為を含む激しい身体運動は、片頭痛を引き起こす可能性があります。

・環境の変化

気象や気圧の変化は片頭痛を引き起こす可能性があります。

・薬

ニトログリセリンなどの経口避妊薬および血管拡張薬は、片頭痛を悪化させる可能性があります。

5. 片頭痛の危険因子

いくつかの要因は、片頭痛の原因となることがあります。

・遺伝

片頭痛の家族がいる場合は、片頭痛が発症することがあります。

・年齢

片頭痛はどの年齢でも始まることがありますが、片頭痛が始まる時期はよく思春期に起こります。

片頭痛は一般的に30代の間にピークに達し、次の数十年で次第に重症度が低くなり、頻度も少なくなります。

・性別

女性は片頭痛を持つ確率が男性よりも3倍高くなります。

頭痛は小児期には女の子より男の子により影響を及ぼす傾向がありますが、思春期以降は女性により多く影響を受けます。

・ホルモンの変化

片頭痛のある女性の場合、頭痛は月経開始直前または直後に始まることがあります。

妊娠中や閉経時にも起こる可能性があります。

片頭痛は一般に閉経後に改善するとされています。

片頭痛発作は妊娠中に始まるか、発作が悪化する人もいると報告されています。

多くの人にとって、妊娠の後期段階で発作は改善されるか、または起こらなくなります。片頭痛は、産後期間中にしばしば戻ってくるとされています。

6. 片頭痛の予防方法

・規則正しい生活をする

一貫した日々のスケジュールを作成し規則正しい生活をします。

定期的な睡眠パターンと定期的な食事で日課を確立します。

さらに、ストレスのレベルを下げるために仕事量を減らしたり、十分な休みを取るようにします

・定期的な運動

通常の有酸素運動は緊張を軽減させ、片頭痛の予防に役立ちます。医師の同意がある場合は、ウォーキング、水泳、サイクリングなど、好きな有酸素運動を選択してください。しかし、突然の激しい運動が頭痛を引き起こす可能性があるため、ゆっくりと行なってください。

・エストロゲンの影響を減らす

エストロゲンが頭痛の原因となるような女性の場合は、エストロゲンを含む薬を避けるか減らすことができます。

これらの薬物には、避妊薬およびホルモン補充療法が含まれます。適切な選択肢や用量について医師に相談してください。

7. 片頭痛の治療薬

片頭痛には痛み止めや吐き気どめなどと一緒に、主にトリプタン系の医薬品が処方されています。

トリプタンは、脳内のセロトニン値を上昇させ、炎症を軽減し、血管を狭窄させ、片頭痛を効果的に治療することができる新しいクラスの薬剤です。トリプタンは、舌の下で溶ける丸薬、鼻スプレー、注射剤、錠剤として発売されており、片頭痛を止めるために迅速に働きます。

トリプタンの種類は以下のようなものが挙げられます:

  • アルモトリプタン(Axert)
  • エレトリプタン(Relpax)
  • フロバトリプタン
  • ナラトリプタン(Amerge)
  • リザトリプタン(Maxalt、Maxalt-MLT)
  • スマトリプタン(Imitrex)
  • スマトリプタンおよびナプロキセン(Treximet)
  • ゾルミトリプタン(Zomig)

 

トリプタンの副作用としては次のような症状が現れることがあります。

  • つま先のかゆみやしびれ
  • 眠気
  • めまい
  • 吐き気
  • 胸や喉の不快感

 

心臓の問題や脳卒中のリスクがある人は、トリプタンを避ける必要があります。トリプタンはまた、抗うつ薬などのセロトニンを増加させる他の薬物と併用すると、致命的な致死的なセロトニン症候群を引き起こす可能性がありますので併用は避けてください。

8. 片頭痛の予防的治療薬

片頭痛が頻発する場合は、片頭痛の頻度と強さを軽減する予防薬を処方することがあります。これらの薬物は、通常毎日、定期的に摂取され、単独で、または他の薬物と組み合わせて処方することができます。これらの薬が効果的に作用をもたらすまでには数週間から数ヶ月かかることがあります。
  • ベータ遮断薬
  • カルシウムチャネルブロッカー
  • 抗うつ薬
  • 抗けいれん薬

9. まとめ

片頭痛で悩んでいる方は、一人で悩まずに医師に相談されることをおすすめします。それと共に、規則正しい生活を行い睡眠と休みを十分にとってストレスの少ない生活習慣を実践すると良いでしょう。

ストレスを発散させるためにも、楽しんで行うことができる有酸素運動を行うと、セロトニンのレベルを上げることができるので改善に役立つでしょう。