1. バイアグラとは?
バイアグラは、世界の医薬品の中で最も広く知られている処方薬のうちの1つです。バイアグラは、勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)を治療するために世界で初めて承認された最初のホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬です。 ED(勃起不全)は男性によくみられる性機能不全であり、年齢とともに頻度が増加する傾向があります。
日本では推定およそ1,800万人、米国ではおよそ3,000万人、世界中で1億人以上の男性が勃起不全に悩まされているとされています。アメリカでの大規模な調査によれば、40歳から70歳までの男性の約50%がEDによりある程度の苦痛を経験しています。
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルが勃起不全を治療する可能性があるという発見は、計画外の出来事でした。シルデナフィルは、もともと、高血圧および狭心症の治療のためにファイザー製薬によって開発されました。心臓の臨床実験中、被験者の中でシルデナフィルが勃起力を高めると報告したことから、研究者たちは狭心症を治療するよりも勃起を誘導するのに有効であることを発見し、軌道修正をしてED治療薬として開発を進めるようになりました。ファイザー製薬は、ED(勃起不全)への治療薬が満たされていない医療ニーズであり、財務的利益のための大きなチャンスであることを認識しました。1998年、FDA(Food and Drug Administration 米国食品医薬品局)は、ED(勃起不全)の最初の経口治療であるバイアグラを審査で承認しました。日本では1999年3月に厚生労働省からの承認を受けて発売されるにいたりました。
FDAからの承認時点でバイアグラは米国での処方薬の発売以来、最も早い初期売上高を達成し、2008年の売上高は20億ドル近くに達しました。ファイザーは、消費者直結型(DTC)の広告を通じてバイアグラとEDの意識を高め、男性に医師の診察と処方箋を求めるよう促しました。
多くの男性たちのED(勃起不全)の症状についての医師と話すことの嫌悪感と恥ずかしさは、バイアグラおよび他のED治療薬の導入以来減少しています。
2. 勃起不全(ED)が与える影響と原因
勃起不全(ED)であることは、男性の自尊心を傷つけ、パートナーとの個人的な関係に対しても悪影響を及ぼすこともあり、さらにはうつ病に繋がる可能性があります。
多くの男性にとって性行為の間に思うように行動できないことは、男性としてのプライドと感情に直接影響を及ぼします。
それではそもそもどうしてEDが発症してしまうのでしょうか?
EDの要因には、糖尿病、高血圧、肥満、高いコレステロール値、慢性的なアルコールまたは薬物乱用、特定の薬物療法、およびケガなどがあります。
正常な老化現象として時間の経過とともにEDになるケースはたくさんの高齢者にみられます。
喫煙を続けていたりする場合は血管や心臓に徐々に悪影響を及ぼすのでEDにつながる可能性があります。
パーキンソン病またはペイロニー病(陰茎海綿体の線維化による疾患)のような医学的症状も、EDを引き起こす可能性があります。
心理的な要因として、うつ病やストレスによって性欲自体が失われることもあります。
ED(勃起不全)は、EDにより過去に失敗した経験からのトラウマからパフォーマンス不安症を経験する男性において繰り返し起こることがあります。
3. バイアグラの効果
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルは、ED(勃起不全)の男性の勃起力と持続時間をサポートし、特定の心臓病を治療するためにも用いられる医薬品です。
バイアグラを服用してから、勃起は男性が性的刺激を受けた時に起こります。
性的刺激が生じると、陰茎の勃起組織の神経系によって一酸化窒素が放出されます。一酸化窒素は、メッセンジャーとしての役割を担い、サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)を産生する酵素を刺激します。サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)は、動脈および勃起組織が血液で満たされるように、陰茎の動脈を拡張させます。海綿体と呼ばれる陰茎にある海綿体組織の2つの円柱形の部屋の筋肉はリラックスして血液を流入させ、勃起を引き起こします。バイアグラを服用すると、血管の壁が弛緩し、勃起の原因となる陰茎の組織に血液が流入されやすくなるのです。
バイアグラはサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)を分解させる体内で生成される酵素であるホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害するので、勃起を持続させることができるようにサポートします。
4. バイアグラの服用方法
1)バイアグラの効果が表われるまでの時間
バイアグラは通常、経口錠剤の形状ですと30〜60分後に効果をもたらし始めます。効果がでるためには個人差がありますが、最大2時間ほどかかる場合があります。性行為の1時間ほど前に服用すると良いとされています。
バイアグラは媚薬ではありませんので、勃起を得るためには性的な興奮を感じる必要があります。リラックスして心地よい状態であると感じることで、バイアグラはより早く効果を発揮します。
2)バイアグラの効果持続時間
バイアグラは通常、服用してから効果が低下し始めるまでに平均しておよそ2時間から3時間ほど効果が持続します。バイアグラは、服用した用量、体の代謝、および他の外的要因に応じて、最大5時間またはそれ以上効果が持続します。
それぞれの体内でどのように代謝するかによって、バイアグラを服用すると効果持続時間内に数回勃起させることができます。
3)投薬量
日本で処方されているバイアグラの用量は25mgと50mgになります。
海外では100mgまで販売されていますが、この用量は平均的な日本人男性の体型には多い用量となっておりますので、個人輸入代行などを利用して輸入される際にはご注意ください。
どの用量が最も自分に適しているかを知るには、医療機関に相談することが最善の方法になります。
バイアグラの服用量は、身体システムにどれくらいの時間作用をもたらすかに影響を与えます。
最小用量の25mgは、最大用量の100mgほど長く持続することはありません。
しかし、持続時間を長くするためにより多い用量の薬を服用することは安全でない可能性が高いので、処方された用量よりも多い用量を自らの判断で服用することは避けてください。
通常は、人は年齢が上がるにつれて代謝が遅くなります。したがって、バイアグラの効果持続時間は、年齢を重ねるにつれて長く続くことがあります。一般的に、あなたは65歳以上の方がより長い効果持続時間を体験することができます。
バイアグラは1日に1回だけ服用することができます。
1回服用してから次回服用するまでには最低24時間以上時間を空けてください。
4)食事の影響
バイアグラを服用する前に、食事を行うと効果を感じることができないことがあります。
バイアグラは3種類発売されているED治療薬の中で最も食事の影響を受けやすいED治療薬ですので、バイアグラを服用する際には食事の影響と服用するタイミングに注意をするようにしてください。
バイアグラの効果を最も効果的に感じることができる服用のタイミングは空腹時です。
食事の後に服用する必要がある場合は、あっさりとした食事を腹7分目ほどにおさえておき、2時間ほど時間を空ける必要があります。
食事の前に服用する場合は、少なくても30分ほど前に、できれば1時間ほど前に服用すると良いでしょう。
油分が多い食事をした後でバイアグラを服用すると有効成分が体内に吸収されることを油分が阻害しますので、脂っこい食事をしたあとでバイアグラを服用しないようにしてください。油分が多い食事は消化されるために時間がかかりますので、バイアグラを服用する日には脂っこい食事をさけることをおすすめします。
5)飲酒とバイアグラ
お酒を飲むことは陰茎への血流を減らすので、バイアグラの効果が低下したり、持続時間が短くなったりします。バイアグラを服用する場合はお酒をごく少量に抑えるか、避けることが必要になります。
6)特定の抗生物質とのバイアグラの併用を避ける
特定の抗生物質、エリスロマイシン(Ery-Tab)、クラリスロマイシン(Biaxin)、シプロフロキサシン(Cipro)などの抗生物質は、バイアグラと相互作用により、バイアグラの効果持続時間に影響を与えます。
7)健康全般
バイアグラの効果持続時間や効果については、既存の健康状態によって影響を受ける可能性があります。
糖尿病、多発性硬化症(MS)のような神経系状態、およびアテローム性動脈硬化症(血管の脂肪蓄積)などの心臓病は、すべてバイアグラの有効性を低下させるために、バイアグラの効果が長時間続くことはありません。
いくつかの腎臓の症状は、代謝に影響を与えるためにバイアグラの効果持続時間を長くする可能性があります。
精神的なコンディションや心理状態、不安、神経質になっていたり、うつっぽい時、ストレスを感じている時は、男性の体がどのように性的刺激に反応するかに影響します。
セックスの際にリラックスしたり快適でない場合、または過去の性体験によりネガティブな記憶のために不安を抱えている場合は、バイアグラは長く持続したり、完全に効果を示すことができないことがあります。
8)バイアグラが身体システムを離れるまでの時間
バイアグラは通常、2〜3時間後に身体システムから代謝されます。
それぞれの身体の代謝に応じて、バイアグラは身体システムを完全に離れるまでに5〜6時間かかることがあります。
5. バイアグラを服用する際の注意事項
バイアグラが服用後30分後に効果をもたらさない場合においても自らの判断で医師が処方した1日の用量を増やさないでください。これは、4時間以上続く痛みを伴った勃起である勃起持続症を引き起こす危険性があります。陰茎に貯まった血液は、陰茎組織が損傷することに繋がる可能性があります。このような症状が発生した場合はすぐに緊急治療を受けてください。
1)バイアグラの併用禁忌薬
いくつかの薬はバイアグラと併用すると安全ではありません。
狭心症や心臓病を治療するための硝酸薬と併用しないでください。
ニトログリセリン、ニコランジル、ニトロプルシドナトリウム水和物、硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、硝酸アミル、または亜硝酸塩が含まれます。
バイアグラと硝酸塩薬を服用すると、急激で危険な血圧降下を引き起こす可能性があります。
また、バイアグラを服用している場合は、肺高血圧症治療薬であるアデムパス(リオシグアト)の薬と併用しないでください。
高眼圧症治療薬であるニプラジロール、抗不整脈薬であるアミオダロン塩酸塩とも併用を避けてください。
2) 持病のある方
以下の持病がある方、あるいはこのような症状を経験したことがある方は服用を避け、医師に相談してください。
・心臓病、心臓発作、心不全、または心臓リズムの問題
・高血圧または低血圧
・高コレステロール
・発作や痙攣を起こしたことのある方
・腎臓病または肝臓病
・糖尿病
・多発性骨髄腫、白血病、または鎌状赤血球貧血などの血液疾患
・血友病などの出血障害
・血液循環の問題
・肺静脈の問題
・色素性網膜炎(遺伝性眼症状)
・胃潰瘍
・陰茎の変形、例えばペイロニー病
・薬へのアレルギー
バイアグラを服用する前に、健康上の理由でセックスをしない方がいいか医師に相談するようにしてください。
バイアグラは目の中の視神経への血流を低下させることがあり、これは突然の視力喪失を引き起こす可能性があります。この合併症を経験するほとんどの人には、心臓病、高血圧、高コレステロール、糖尿病、または特定の眼の問題も患っている傾向があります。
喫煙者で50歳以上であれば、視力の問題のリスクも高くなります。
突然の視力喪失を経験した場合は、バイアグラの使用を中止し、緊急に医療機関で受診してください。
また、バイアグラを服用中に性行為中に胸の痛み、吐き気、めまいがある場合は、すぐに医師に知らせてください。
バイアグラは18歳未満の人には使用しないでください。
バイアグラを服用する前に、医師に歯科処置を含むあらゆるタイプの手術を受けることを知らせてください。
6. バイアグラの副作用
一般に、バイアグラのようなPDE5阻害剤の最も一般的な副作用は軽度で短時間でおさまります。
バイアグラの副作用としては、以下のような症状が起こることがあります。
頭痛
火照り
胸焼け
視界の問題
吐き気
めまい
突然の聴覚や視力を喪失した場合はすぐに医療提供者に報告してください。
4時間以上持続する勃起の症状である勃起持続症はまれな出来事ですが、起こると緊急治療を受けてください。
使用前に必ずバイアグラの薬物相互作用および使用上の注意を確認してください。
7. まとめ
バイアグラはED治療薬としては初めて発売され、その後世界中の男性に愛用されている最も信頼と実績のあるED治療薬です。服用に際しては服用方法と用量、食事との影響、注意事項をしっかりと確認した上で医師の指示通りに服用するようにしてください。
医薬品名 | 主要有効成分 | 即効性 | 服用方法 | アルコール | 持続時間 |
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バイアグラ | シルデナフィル | 60 分 | 水で服用 | NG | 4 時間 |
バイアグラ (ソフトタイプ) | シルデナフィル | 15-20 分 | キャンディーやゼリーのようにそのまま服用 | OK | 6 時間 |
シアリス | タダラフィル | 30 分 | 水で服用 | NG | 36 時間 |
シアリス (ソフトタイプ) | タダラフィル | 15-20 分 | キャンディーやゼリーのようにそのまま服用 | OK | 36 時間 |
レビトラ | バルデナフィル | 45 分 | 水で服用 | NG | 12 時間 |
レビトラ (ソフトタイプ) | バルデナフィル | 15-20 分 | キャンディーやゼリーのようにそのまま服用 | OK | 12 時間 |