スワティ・プンド薬学 博士 02
著者 スワティ・プンド 薬学 博士 スワティ・プンド 薬学 博士 Ph.D.

シアリスの併用禁忌薬

有効成分タダラフィルを含むシアリス(Cialis)は、世界で最も人気のあるED治療薬です。効果持続時間が最大で36時間まで持続し、勃起力を回復させる確かな効果をもたらします。

シアリスは男性の健康を保ちながら安全に服用していただくことができます。このED治療薬は繰り返し安全性を確かめる研究が行われており、身体に害をもたらすことがないことが報告されています。ただし、他の医薬品との併用禁忌薬がありますので、これを遵守しない場合、望ましくない結果を招くことがあります。

健康に害を与えることなく、治療による最大の効果を得るために、シアリスの併用禁忌薬、お薬の使用上の注意、推奨されている飲み方、制限事項に注意を払うことが大切になります。

シアリスの併用禁忌薬

シアリスの併用禁忌薬

1.アルファ遮断薬

  • この併用禁忌薬の説明

α遮断薬はシアリスの併用禁忌薬です。

抗アドレナリン薬(アドレナリン遮断薬)は、ノルエピネフリンとアドレナリンに反応する神経インパルスをブロックする医薬品のグループです。薬効は、身体へのアドレナリンとノルアドレナリンの効果とは逆の効果をもたらします。抗アドレナリン薬のグループに含まれるお薬は、心臓と血管壁にあるアドレナリン受容体の作用を「遮断」することにより、高血圧を下げ、心臓のリズムを正常化するサポートをします。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

シアリスは、一部のアドレナリン遮断薬との併用が推奨されていません。 シアリスの併用禁忌薬や併用注意薬を調べるためには、現在服用している医薬品やサプリメントとの飲み合わせについて、泌尿器科医に事前に相談する必要があります。

併用禁忌薬の降圧薬とシアリスを併用した場合、服用した患者の血圧が制御不能なレベルまで低下することになります。また、ED治療薬と高血圧治療薬であるドキサゾシンを飲み合わせることは禁忌です。それらを併用した場合、血管が急速に狭まる相互作用を引き起こし、失神するリスクを高めます。

シアリスなどのED治療薬の有効成分と尿路結石や前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療を目的に用いられるタムスロシンとの併用は、患者がアドレナリン遮断薬の最小投与量(1日あたりの投与量は0.4 mg)を使用した場合にのみ、血圧レベルに深刻な影響を及ぼしません。

高血圧治療薬および狭心症治療薬であるアムロジピンをシアリスと併用しても、患者の身体に大きな影響は与えません(収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ3 Hgと2 Hg低下します)。

10 mgのタダラフィルを服用した後、高血圧、不整脈の治療薬であるメトプロロールを毎日最大200 mgの用量で服用している患者は、平均で10 Hgの血圧の低下を報告しています。

高血圧に対する経口利尿薬であるベンドロフルメチアジドを勃起薬と併用すると、血圧がわずかに低下することが報告されています(プラセボと比較した場合の平均低下は6/4 mmHgでした)。

2.CYP3A4阻害薬

  • この併用禁忌薬の説明

CYP3A4阻害薬はシアリスの併用禁忌薬です。

シアリスの有効成分は、主にシトクロムP450 3A4アイソザイム(略称CYP3A4)により体内で代謝されます。CYP3A4は、主に肝臓と腸に存在し、人体の生体異物の代謝に関わる最も重要な酵素の1つです。

その働きは、毒素や薬物などの小さな外来有機分子を酸化して、体内から排出できるようにすることです。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

シアリスとCYP3A4阻害薬を併用する場合、シアリスやバイアグラなどのED治療薬の用量を選択する際に最大限の注意を払う必要があります。血中のシトクロムP450 3A4アイソザイムの濃度レベルが低いほど、タダラフィルの効果を制御できなくなり、副作用の発症につながる可能性があります。

ただし、アイソザイムの影響は薬物を同時服用した用量だけに依拠するものではありません。喫煙、アルコール、年齢、遺伝、栄養、病気など他の多くの要因も影響を与えます。これらの要因は、シトクロムP 450酵素にそれぞれ影響を与え、個々の患者にどれくらい相互作用をもたらすのかを決定します。

真菌性疾患および皮膚真菌症の治療に使用される選択的で強力なCYP3A4阻害薬であるケトコナゾールを、1日400 mg摂取し、シアリスを20 mg1回服用した場合、AUC(血中濃度-時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)が312%、血液中のCmax(薬物の最大濃度)が22%増加しました。

ケトコナゾールを、1日400 mg摂取し、シアリスを10 mg1回飲み合わせた場合、AUCが107%、Cmaxは15%増加しました。

それぞれの医薬品とシアリスとの相互作用については完全に研究されていませんが、イトラコナゾール(トリアゾール系抗真菌薬)、クラリスロマイシン(マクロライド系抗生物質)、テラプレビル(抗ウイルス薬)などはCYP3A4阻害作用を持ち、血漿中のタダラフィルの濃度レベルを高める可能性があります。同様に、グレープフルーツとグレープフルーツジュースの中に含まれているフラノクマリンという成分がタダラフィルの代謝を阻害する作用をもたらします。これらの薬剤はすべて、シアリスの併用禁忌薬になります。このような薬剤を服用している場合、このED治療薬の5 mgまたは2.5 mgの用量を1回服用する方法があります。しかし、この服用方法を試す前に、医師に必ず相談するようにしてください。

3.CYP3A4誘導薬

  • この併用禁忌薬の説明

CYP3A4誘導薬はシアリスの併用禁忌薬です。

酵素誘導は、身体の代謝において最も重要な働きの1つです。食物、薬物、アルコールなどのさまざまな成分を効率よく吸収するために、何百万年もの間このメカニズムが進化してきました。人体の酵素システムは、酵素の数とその活性を増加させること、すなわち誘導することにより、そのような成分を高い濃度で吸収することができるようになります。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

シトクロム誘導薬は、併用した薬物の効率を低下させるリスクがあると推測することができます。

ただし、この作用には別の側面があります。誘導薬の服用を突然の中止した場合は、予期せず血漿中の有効成分の濃度が大幅に増加する可能性があります。

最もよく知られているシトクロム誘導薬は結核やハンセン病の治療に用いられるリファンピシンです。リファンピシンは肝臓のCYP3A4のレベルを上昇させ、タダラフィルの代謝を促進するする抗生物質です。

選択的CYP3A誘導薬であるリファンピシンを1日60 mg 摂取した場合、 AUC(血中濃度-時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)において、タダラフィルの単回投与の効果が88%低下したと報告されています。したがって、有効成分の効果が実質的に半減します。

カルバマゼピン(抗てんかん薬)、フェニトイン(ヒダントイン系の抗てんかん薬)、フェノバルビタール(バルビツール酸系の抗てんかん薬)などの他のCYP3A4誘導薬も、シアリスと併用するとその効果を低下または最小化すると想定されています。したがって、このクラスのお薬はシアリスと併用することは禁忌になります。


4.HIVプロテアーゼ阻害薬

  • この併用禁忌薬の説明

HIVプロテアーゼ阻害薬はシアリスの併用禁忌薬です。

HIV-1プロテアーゼは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が感染し増殖する過程で必要となる重要な酵素です。  プロテアーゼは、感染した細胞において増殖する際に必要なGagとGag-Polなどのタンパク質を、そのままの大きさではウイルスが組み立てられないので、適切な場所で切断します。小さくすることによって切断されたタンパク質にウイルスの組み立てが可能になるので、HIVのビリオン(ウイルス粒子)の成熟タンパク質が形成されます。

したがって、HIVウイルスの増殖プロセスにおいて重要になるHIV-1プロテアーゼの酵素を阻害することで、細胞に感染するHIV粒子の能力に損傷を与えることができます。

このメカニズムの発見により、HIVを治療するために、効果的なプロテアーゼ阻害剤の調査研究が進められています。

より簡単に説明すると、HIV-1プロテアーゼは化学的な「はさみ」として機能します。 HIVが新しいウイルスを組み立てるために必要なタンパク質を適当な大きさに切断し、HIVが組み立てられるようにするのです。プロテアーゼ阻害剤は、これらの「はさみ」を「接着」してその作用をブロックします。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

HIVプロテアーゼ阻害薬であるリトナビルは 、CYP3A4阻害薬でもあります。

リトナビルを1日2回200 mg服用し、タダラフィルを1回20 mg併用した場合、Cmaxに影響を与えることなくの AUC(血中濃度-時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)を124%増加させました。

その他のHIVプロテアーゼ阻害薬であるインディナビル、サキナビル、ダルナビルのシアリスとの併用は、シアリスの効果を急激に増加させ、その結果、副作用が発症する可能性が高まります。

HIVプロテアーゼ阻害薬は、シアリスの併用禁忌薬です。バイアグラも同様に、HIVプロテアーゼ阻害薬が併用禁忌薬となっています。

HIVプロテアーゼ阻害薬を服用している場合、勃起不全を治療するためには、医師の厳格な指示のもとで、できる限り低い用量を服用する方法でのみ可能です。初めての用量の基準は2.5 mgで、5 mgまで服用することができるとされています。しかし、この服用方法は必ず医師に相談してから行うようにしてください。

5.硝酸薬

  • この併用禁忌薬の説明

硝酸薬はシアリスの併用禁忌薬です。バイアグラなどの全てのED治療薬と硝酸薬は併用禁忌となっています。

硝酸薬なしで冠状動脈性心臓病の治療を行うことは困難です。このグループのお薬は、狭心症および心臓発作の患者の胸骨の痛みを予防し、緩和するために使用されます。

硝酸塩には、ニトログリセリン、アイトロール、アイスラールなどのお薬が含まれます。同じグループのお薬として、狭心症治療のための血管拡張薬であるモルシドミンが含まれることがあります。モルシドミンは薬物の構造的には硝酸塩ではありませんが、その作用メカニズムは類似しており、一酸化窒素を放出し、血管平滑筋を弛緩させます。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

硝酸薬は、心臓動脈の拡張を引き起こし、心筋への血流と酸素供給を増加させます。その結果、胸骨の痛みや不快感を解消することができます。

さらに、硝酸薬は全身の静脈を拡張させるため、より多くの血液が流入するようになります。心臓に戻る血液の量を減らし、心臓への負担を減らします。この効果は、血管壁を弛緩させる一酸化窒素の放出により引き起こさせます。

シアリスやバイアグラなどのED治療薬も同様の血管拡張効果をもたらします。シアリスやバイアグラと硝酸薬を同時服用すると、必要以上に血管が拡張され、危険なレベルまでの血圧が下がる可能性があります。

硝酸塩を含む医薬品とシアリスやバイアグラとの併用は禁忌です。

6.ナトリウム利尿ペプチド

  • この併用禁忌薬の説明

ナトリウム利尿ペプチドは、人間の体内で合成され、水分と代謝の調節に重要な役割を果たすペプチド・ホルモンです。

心臓の心房や心室でナトリウム利尿ペプチド(PNPまたはANP)は、合成されます。ナトリウム利尿ペプチドは脳、下垂体前葉、腎臓、肺でも見られます。

ナトリウム利尿ペプチドの主な作用は、ナトリウムの作用により排尿を増やし、体液の量が調整されることから心臓への負担を減らすことです。  末梢血管を拡張させることにより、血管の抵抗を少なくし、心臓への負担を減らし、血圧を降下させます。

  • 併用禁忌薬のリスク要因とリスクを減らす方法

現在、ナトリウム利尿ペプチドとシアリスとの併用に関するいくつかの研究はまだ進行中であり、薬物の併用に関する信頼できる結果はありません。ただし、シアリスはPDE5阻害剤であるため、併用した場合のタダラフィルの濃度レベルが増加すると予想することができます。

シアリス、バイアグラやレビトラの併用は可能ですか?

これらのED治療薬はすべて、作用機序と効果の両方が類似しています。バイアグラレビトラの、シアリスとの併用は、PDE5阻害薬の最大1日投与量を超える可能性がありますので併用禁忌です。

シアリスと、バイアグラまたはレビトラを併用した場合、血管拡張効果が数倍増強される可能性があります。このような過失の結果、失神や、心拍の異常、視覚異常などの深刻な副作用に繋がる可能性があります。脳卒中の可能性も高まります。

もちろん、シアリスと、バイアグラまたはレビトラの最小の投与量を組み合わせて併用することは可能ですが、良い効果は期待できません。

医師に相談し、それぞれの身体に合ったED治療薬をシアリス、バイアグラ、レビトラの中から正確に選択することをお勧めします。


頭痛薬との併用

頭痛は、最も一般的なシアリスの副作用の1つです。投与量に応じて、患者の15%で見られます。この場合、解決策は、お薬の1日の投与量を少なくしてみるか、別のPDE5阻害薬を服用してみることです。

しかし、頭痛の原因がタダラフィルと関連していない場合はどうでしょうか?

ストレス、生活の悪習慣、不健康な身体のコンディション、ビタミン不足、疲労 -これらは、すべて頭痛の原因となり得ます。この場合、頭痛薬を服用する必要があります。シアリスと頭痛薬との併用は禁忌なのでしょうか?製薬メーカーの説明書には、この質問に対する答えは明記してありません。ただし、シアリスは1日あたり10 mg以下の用量で摂取すれば、鎮痛薬や鎮痙薬と併用できることがわかっています。

シアリス自体には血管拡張作用があり、これにより血圧に変化をもたらしたり、頭痛薬の効果が低下することがあります。したがって、シアリスなどのPDE5阻害薬のED治療薬と頭痛薬の飲み合わせに関しては、実質的に併用禁忌ではありません。

風邪薬とシアリスを併用することができますか?

呼吸器疾患の症状は非常に不快で、発熱、鼻づまり、咳、痛みなどが生じます。これらの症状を解消するためには、風邪薬を服用する必要があります。風邪薬は、タラダフィルにネガティブな影響を与えません。シアリスと風邪薬の併用は可能になります。さらに、アセチルサリチル酸を有効成分とするアスピリンは、タダラフィルの作用にプラスの効果をもたらします。

トルコの イスタンブール大学 メディポール・クリニックの科学者は、血管障害により勃起不全(ED)と診断された120人の男性を対象に、1日100 mgの低用量のアスピリンを服用させ、有効性を確かめる研究を実施しました。他の64人の男性がコントロールグループを構成し、プラセボを摂取しました。この研究の結果は、2018年1月に出版された雑誌「International Urology and Nephrology」に掲載されています。

6週間の「アスピリン療法」の終わりに、実験グループの参加者は、平均で14.1から21.3ポイントへ、IIEF指標(国際勃起機能)スコアが改善したことが示されました。

「勃起はペニスを膣に挿入するために十分な硬さでしたか?」という質問に対する答えは、研究の開始時に、実験グループの参加者の51.6%のみが「はい」と答えたのに対し、研究の終わりにこの数値が70.5%に上昇しました。プラセボ対照群の参加者の結果は悪く、それぞれ50%と54.7%でした。

結局のところ、風邪薬、アスピリンの治療は性交の時間を延長させ、両方のパートナーがオルガスムを得るのに十分な長さに延長するサポートをしました。参加者の46%がこの事実を報告しました(初めは31.2%でした)。


どの症状がシアリスの禁忌症なのでしょうか?

シアリス使用のための絶対禁忌症

1)シアリスの有効成分と添加物に対する過敏症、アレルギーをお持ちの方:

微結晶性ラクトース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、ヒプロロシス、トリアセチン

2)心血管系の疾患を患っている男性、性的活動に関して医師から制限されている場合:

  • 過去3か月間に心筋梗塞を発症
  • 性交時を含む不安定狭心症
  • 過去6か月に診断されたNYHA(New York Heart Association )による慢性心不全クラスII〜IV 度
  • 不整脈、低血圧; 血圧が正常値から20%以上低下する症状、または収縮期圧では90 mm Hg未満、平均動脈圧では60 mm Hg未満の血圧の低下
  • 動脈性高血圧(抵抗性);持続的な血圧の上昇を示す慢性疾患
  • 薬を服用する前の6ヶ月間以内に脳卒中または脳組織の損傷を伴う虚血性脳卒中または脳循環障害を発症

3)非動脈炎性前部虚血性視神経症による網膜の変性疾患、または循環器系疾患による網膜の損傷

4)ラクターゼ欠乏症、乳糖不耐症、グルコース・ガラクトース吸収不良、すなわち、胃腸管での単糖類の吸収障害によって引き起こされる症候群

5)慢性腎不全(クレアチニンクリアランスが30 ml / min未満)の患者

シアリスの相対的な禁忌症

1)重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類によるクラスC);研究が不足しているため、シアリスの服用量の選択に最大限に注意する必要があります。

2)血圧を下げて血管を拡張する薬であるα1アドレナリン遮断薬を服用している患者は、シアリスの投与量を知るために、医師に相談することをお勧めします。これは、薬物の併用が症候性低血圧につながる可能性があるためです。

3)持続勃起症を患ったことがある患者、性的興奮がおさまった後も長時間にわたり痛みを伴う勃起が続く症状(鎌状赤血球貧血、多発性骨髄腫、白血病の患者)は、最小限の投与量から薬を慎重に服用する必要があります。

4)先天性または後天性の陰茎変形症(陰茎弯曲、海綿状線維症、ペイロニー病)などの患者は、医師の指示の下でシアリスを服用する必要があります。

妊娠中および授乳中の使用

シアリスは男性専用に開発されたもので、女性への使用を目的としたお薬ではありません。女性はシアリスを服用しないでください。

グレープフルーツとシアリスは併用禁忌

シアリスとバイアグラなどのED治療薬とグレープフルーツと柑橘類のジュースは併用禁忌であり、併用を避ける必要があります。

たくさんの男性は、シアリスやバイアグラとグレープフルーツジュースは併用禁忌だと聞くと、驚きます。1991年にD. ベイリー博士とローソン ヘルス研究所のスタッフが初めて、柑橘類と特定の薬物の併用による悪影響の可能性について警告しました。しかし、2006年になってから、ノースカロライナ大学のP.ワトキンスが率いる科学者のグループが、グレープフルーツジュースにはCYP3A酵素の作用を阻害するフラノクマリンが含まれていると発見しました。この酵素は、生体異物の代謝の触媒であり、その作用により、お薬の効果が非常に強く現れてしまいます。シアリスとグレープフルーツを併用すると、肝臓での薬物の変換プロセスが遅くなり、身体での中毒症状につながってしまいます。

言い換えれば、フラノクマリンは薬物の代謝を助ける酵素を阻害します。その結果、タダラフィルが腸内で代謝されず、大量のタダラフィルが血液に入り込ます。薬物の濃度レベルが許容できないほどの高さまで上昇した場合、さまざまな合併症、たとえば血圧の急激な低下や、痛みが生じる可能性があります。

また、シアリスの治療効果は以下によって妨げられる可能性があります。

  • フラボノイド(植物性ポリフェノール)を含むジュース。フラボノイドは、代謝のプロセスを妨げます。
  • グレープフルーツに糖タンパク質の1つの働きを阻害する物質が含まれています。この糖タンパク質は、細胞から薬物の残余物質を取り除く働きをします。この働きが阻害された場合、多数の毒素が細胞に蓄積してしまいます。

したがって、グレープフルーツジュースと一緒に服用したシアリス1錠は、コップ1杯の水で飲んだシアリス1錠よりも数倍の効果をもたらすことになります。レモンやみかんは安全だとされていますが、他の柑橘類は避けたほうが良いでしょう。

これは、バイアグラレビトラなど、他のED治療薬にも当てはまります。バイアグラ、レビトラ、シアリス、そしてこれらのジェネリック医薬品とグレープフルーツ、またはそのジュースは併用禁忌になります。

また、フラノクマリンを高い割合で含む他の柑橘類、赤オレンジ、ライム、ベルガモットとの併用は注意が必要です。ただし、レモンとの併用は安全だとされています。

シアリスの副作用に関する詳細につきましては「シアリスの副作用」の記3事をご参照ください。


スワティ・プンド薬学 博士 02
著者紹介: スワティ・プンド 薬学 博士 スワティ・プンド 薬学 博士は、学術・研究分野での確かな経験と、査読付き科学雑誌での出版、ファイザーなどの大手製薬会社での研究経験を有する薬学博士です。当ウェブサイトのすべてのページで専門知識を監修しています