タダラフィル(Tadalafil)
タダラフィル(Tadalafil)に関する情報
有効成分タダラフィル(Tadalafil)は、アメリカの製薬会社であるイーライリリー社(Eli Lilly)が開発したホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬という医薬品のグループに属するお薬です。有効成分タダラフィルの主な適応症は、男性の勃起不全(ED)になります。世界中の男性から人気のED治療薬、シアリスに含まれている有効成分として知られており、ジェネリック医薬品にはメガリス(Megalis)などがあります。
オリジナルのED治療薬、Cialisは最大36時間まで勃起を回復させる効果をもたらすために、欧米では「ウィークエンド・ピル」と呼ばれ、親しまれています。シアリスに含まれている有効成分タダラフィルは、適度な量のお酒や800kcalまでの食事と一緒に服用することができます。
したがって、土曜日の朝にこの医薬品を服用すると、時間のことは気にせずにパートナーと喜びに満ちた週末を過ごすことができます。 2007年7月31日以降、シアリスは日本での販売が正式に承認されました。
有効成分タダラフィルの化学式はC22H19N3O4です。
有効成分タダラフィルは、水とアルコールにほとんど溶けない硬く白い結晶状の物質です。
半減期、つまり効果が半減する時点は17.5時間と遅く、この数値はED治療薬の有効成分の中で最良の指数になります。
適応症
А)タダラフィル(Tadalafil)に基づくED治療薬の使用の主な適応症は、さまざまな重症度のED(勃起不全)です。
勃起不全の主な要因は次のとおりです。
- 心因性勃起不全:
不安、神経症、うつ病、統合失調症などの精神疾患の悪化により発生します。性的興奮の欠如または急速な減退を伴います。
- 器質性勃起不全;
心臓疾患、血液疾患、神経系疾患、内分泌疾患に関わる血管の症状が原因で発症します。器質性勃起不全は、特定の医薬品や有害物質の摂取の結果としても発生する可能性があります。
- 複合的な要因:
ED(勃起不全)は、器質的、および心理的な複合的影響の元で発生することがあります。統計によると、身体的な怪我などはしばしば心理・精神に関わる病気を引き起こすことがあります。
病気の原因と重症度にかかわらず、有効成分Tadalafilはあらゆるタイプの勃起不全を効果的に治療することができます。新薬シアリスとシアリスジェネリックには同じ有効成分タダラフィルが含まれているので、用量が同一であれば、効果は同等ということになります。しかし、ジェネリック医薬品にはさまざまな剤形や用量が提供されており、添加物もそれぞれ異なります。実際の効果の現れ方は、これらの影響が少しずつ作用するので、微妙に異なることになります。
B)有効成分タダラフィルは、前立腺肥大症の治療薬としても使用されます。
前立腺肥大症を患うと、膀胱や尿道が圧迫され、排尿障害を伴います。
ほとんどの場合、この症状は40〜50歳で診断されます。世界保健機構(WHO)の統計によると、50歳以上の男性の最大25%が前立腺肥大症を患っており、65歳の男性では50%に、より高齢の男性では約85%に症状が見られることが報告されています。
前立肥大症を患うと、尿路に深刻な症状が発生する可能性があります:尿石症、前立腺炎、勃起不全、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、慢性および急性腎不全などが含まれます。
有効成分タダラフィルの良性前立腺肥大症への使用は、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されています。有効成分タダラフィルを含むザルティア(Zalutia)という名前の医薬品が前立腺肥大症に伴う排尿障害への治療薬として2014年に日本で発売されました。
C)まったく新しいタダラフィルを用いた治療として有望なのは、肺高血圧症への使用です。
肺高血圧症(PAH)は、心臓から肺への血管が狭くなって血液が流れにくくなるために肺動脈において高血圧が引き起こされる疾患の症状です。進行すると心不全や死の危険にも繋がってしまう病気です。
肺高血圧症の治療におけるタダラフィルの作用機序は次のとおりです。
有効成分の作用で肺動脈が拡張するために、血液が肺を通過しやすくなります。肺において血液が酸素をより多く含むことが可能になり、体全体に血液がよりよく行き渡るようになります。この作用により、肺のシステムだけでなく、心臓への負担も軽減されます。
アドシルカという商品名で販売されています。
タダラフィルの作用機序
有効成分タダラフィルは、勃起を維持するために放出される環状グアノシン一リン酸(cGMP)を妨げるホスホジエステラーゼ5型(PDE5)という酵素を選択的に阻害するお薬です。
自然な性的興奮により一酸化窒素(NO)が局所的に放出されると、陰茎の海綿体のcGMPレベルが上昇します。その結果、動脈の平滑筋が弛緩し、陰茎の組織には血液が流入し、勃起を引き起こします。 タダラフィルは、cGMP を妨げる酵素であるPDE5を阻害するので、この作用機序の結果として、性交が成功する確率が劇的に高まります。
タダラフィル(Tadalafil)を含む最も有名な医薬品は、ED治療薬であるシアリス(Cialis)です。効果持続時間が最大で36時間まで作用し、適度な量のアルコールや800kcalまでの食事なら一緒に服用することができます。お薬の効果は、錠剤を服用してからおよそ30程後に現れ始めますがしっかりとした効果を感じるためには1〜3時間かかるとされています。 海外では後発品であるジェネリック医薬品も多数販売されています。
有効成分タダラフィルを含む医薬品
多くのジェネリック医薬品(後発品)は、アメリカの製薬会社イーライリリー社が製造したオリジナルの医薬品とは、作用の持続時間と効果の発現だけでなく、その剤形も異なります。さまざまな剤形や用量が提供されているため、ほぼすべての男性に適切な治療方法を選択することができます。
販売名 | 適応症 | 製薬会社 | 用量 | 剤形 |
---|---|---|---|---|
シアリス (Cialis) | ED | Eli Lilly (アメリカ) 発売元:日本新薬株式会社 | 20 mg | 薄い黄色のアーモンド形 |
メガリス | ED | マクローズ社 (インド) | 10 mg 20 mg | 薄い朱色の丸型 |
ビダリスタ | ED | センチュリオン・ラボラトリーズ社 (インド) | 10 mg 20 mg 40 mg | 薄い黄色の楕円形 |
タダリスタ スーパーアクティブ | ED | フォーチュン・ ヘルスケア社 (インド) | 20 mg | 黄色のゼラチンカプセル |
タスティリア | ED | ヒーリング・ファーマ社 (インド) | 20 mg | ピンクの薄い四角いフィルム |
ザルティア | 前立肥大症による排尿障害 | 日本新薬株式会社 | 2.5 mg 5 mg | 白色のアーモンド形 |
アドシルカ | 肺高血圧症 | Eli Lilly (アメリカ) 発売元:日本新薬株式会社 | 20 mg | だいだい色のアーモンド形 |
臨床試験
1.勃起不全(ED)
タダラフィルの有効性と安全性は、さまざまな年齢、人種、健康状態を有する2000人以上の男性が参加したテストの結果に基づいて評価されました。それらの男性たちに共通していること、パラメーターは、ED(勃起不全)を患っているということのみでした。
合計で、22の研究が世界中のさまざまな診療所で実施されました。
患者は、お薬を服用してから性交までの時間間隔を自由に選択できました。食べ物とアルコールは制限されていません。パフォーマンス・パラメータは、EDの重症度を測るためのIIEF(国際勃起機能スコア)に応じた点数と、性交に関する質問(Sexual Encounter Profile : SEP)の質問2(「パートナーの膣への挿入ができましたか?」)、質問3(「勃起は十分に持続し、性交渉に成功しましたか?」)に対して「はい」と回答した割合で評価されました。
調査結果
主な研究では、平均年齢59歳の21〜87歳の男性が1500人以上含まれていました。その内の大部分である90%以上には、1年以上続くさまざまなタイプの勃起不全(ED)がありました。さらに、それらの患者は、糖尿病、動脈硬化、高血圧などの心血管疾患に関連する症状を持っていることがありました。
臨床試験において、要因に関わりなくすべての研究で、タダラフィルを服用した男性はプラセボを服用した男性と比較して、性的に健康の改善が顕著だったことが、統計的に確認されました。
タダラフィルは5、10、または20 mgの用量で服用されました。
プラセボを投与された男性は、8.3%でのみEDの完全な克服が達成されました。
5と10 mgの用量でタダラフィルを服用した男性ではそれぞれ51.5%、そして50.5%でEDの完全な克服が達成されました。
また、プラセボを服用した患者の28.3%が勃起の改善に関する質問に肯定的に答えましたのに対し、5 mgと10 mgの用量でタダラフィルを服用した患者では、この数値はそれぞれ84.5%と84.6%と高くなりました。 20 mgを服用した男性は、わずかではありますが、さらに良い結果が示されました。
タダラフィルの最適な服用方法を調べる研究
二重盲検試験では、223人の男性が3つのグループに分けられました。一つ目のグループはプラセボ、二つ目グループは10 mgのタダラフィル、三つ目グループは20 mgのタダラフィルを服用しました。ストップウォッチを使用して、患者がお薬の服用後、勃起に成功した時間を記録しました。
その結果、プラセボを服用したグループの男性の35%、10 mgのタダラフィルを服用したグループの男性の38%、20 mgを服用したグループの男性の52%で、30分以内に勃起の成功が観察されたと報告されました。
他の研究では、特定の時間間隔でタダラフィルの作用機序の効率を調べるために実施されました。評価は、投与後24時間および36時間で実施されました。
結果は、プラセボと実際の薬を投与されたグループ間で違いを示しました。
24時間後に効率を評価した最初の研究では、少なくとも1回の性交の成功が報告された確率は、プラセボを服用したグループの患者の37%で、20mgの薬物を服用したグループの61%で報告されました。
36時後の評価では、プラセボを服用したグループの患者で同じ結果が観察されたのに対し、20 mgの用量で実際の治療薬を服用したグループの患者では64%でした。同様のルールに従って実施された2番目の研究でも、同様の結果が得られました。
2.前立腺肥大症
この病気は「前立腺腺腫」としても知られており、前立腺の大きさが増大し、排尿に関わる多くの問題を引き起こします。最も不快な症状の1つは、完全なED(勃起不全)です。
遺伝的要因、不健康な生活習慣、肥満、高血糖、アンバランスな食生活のために、前立肥大症は世界で最も広まっている病気の一つです。日本でこの疾患を持つ男性の数は、過去20年間で2.5倍に増加し、42万人に達しています。さらに、潜在的な患者の数は10倍以上とされています。
2011年、米国食品医薬品局(FDA)は、1日1回以下で5 mgのタダラフィルを服用する治療法を前立肥大症の治療として承認しました。
2014年、中国の武漢大学中南病院泌尿器科で、28196人の男性を対象に64のランダム化比較試験を伴うメタ分析が実施されました。その結果、前立腺疾患の症状の重症度を最大の効率で軽減することができる医薬品は、α1-アドレナリン遮断薬とPDE -5阻害薬の組み合わせであることが報告されしました。
タダラフィルは、前立腺肥大症を他の医薬品と組み合わせて服用し、治療することができる治療薬です。
日本では2014年4月にザルティア(Zalutia)という商品名で発売されています。 2.5mgおよび5 mgの用量で販売されており、尿路障害を回復させ、血管と前立腺の血流を改善させます。
3.肺高血圧症
肺高血圧症または、肺動脈高血圧症(PAH)は、正常値を上回る数値まで肺動脈の血圧が上昇する症状です。この病気は、拡張期血圧と収縮期血圧とは関わりがありません。
通常の高血圧の場合、病気の治療方法は非常に明確で効果的ですが、肺動脈の血圧上昇の検出はそれほど単純ではなく、病気の治療はより困難になります。
病気は初期段階では気が付かないことが多く、いつの間にか発生しており、進行した段階では致命的である可能性が多いとされています。そのため、タイムリーな治療が緊急に必要となります。
2011年に、肺動脈高血圧症(PAH)へのタダラフィルの効果に関する16週間の研究が、アメリカ、フランス、イタリアで同時に実施されました。研究には肺動脈高血圧症(PAH)を患う患者405人が参加し、その研究結果が公開されました。
治験薬の有効性の重要な指標として、6分間の歩行テストが実施されました。結果として、有効成分タダラフィルはそのジェネリック医薬品も含み、男性と女性の両方で疾患の臨床的な進行を阻止させ、症状の回復をサポートすることができたと報告されました。
日本では、この薬はアドシルカ(Adcirca)という名前で販売されいます。ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)の阻害剤に属し、肺動脈平滑筋を弛緩させて血流を改善します。
タダラフィルの服用方法は?
1日あたりのタダラフィルの最大服用量は20 mgです。20mgを服用すると最大で36時間効果が持続します
性交を予定している時間の最低でも30分前にタダラフィルを服用してください。効果の現れ方には個人差があるとされており、1〜3時間かかることがありますので余裕を持って服用してください。
初めて服用する場合の、推奨用量は10 mgです。
- 腎不全の患者:
クレアチニンのクリアランスが1分あたり30〜50 mlの場合、推奨用量は1日あたり5 mgになります。
- 中度から重度の肝不全の患者:
1日(24時間)あたり10 mg以下の用量を服用します。
シアリスの正しい服用方法の詳細につきましては、「シアリスの飲み方」の記事をご参照ください。
機能・禁忌・副作用
特長・機能
- 効果持続時間は最大で36時間と長く、バイアグラの数倍にもなります。
- 良好な効果が現れる確率が約84%と高いのが特長です。
- 適度な量のお酒と800kcalまでの食事となら一緒にふくようすることができます。
- 蓄積効果があり、初めて服用する時よりも繰り返し服用した時により優れた効果を感じることができます。
併用禁忌薬
有効成分は18歳未満の男性と女性には禁忌です。
次の場合にはタダラフィルを服用できません。
- 過去90日以内に心筋梗塞を患った場合
- 性交時を含み、不安定狭心症を患ったことがある場合
- 過去6か月間に心不全(NYHA分類によるクラスII以上)を発症したことがある場合
- 過去6か月以内に脳卒中を患ったことがある場合
- 網膜色素変性症を含む網膜の遺伝性変性疾患の診断を受けたことがある場合
- 持続勃起症(プリアピズム)を患ったことがある場合
- 重度の肝不全をお持ちの場合
併用注意薬
効果を増強する | 効果を低下させる | 影響を与えない |
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CYP3A4酵素の阻害剤: •ケトコナゾール •リトナビル | シトクロムP450の誘導薬: •リファンピシン •カルバマゼピン •フェニトイン •フェノバルビタール | 降圧薬: •アムロジピン •メトプロロール •ベンドロフルメチアジド •エナラプリル |
他のシトクロムP450の阻害剤: •エリスロマイシンイトラコナゾール •グレープフルーツジュース | 制酸剤: •水酸化マグネシウム •水酸化アルミニウム | CYP3A4およびCYP2C9の基質: •ミダゾラム •ロバスタチン •ワルファリン |
キサンチンの誘導体: •テオフィリン | Н2-抗ヒスタミン薬: •ニザチジン |
シアリスの併用禁忌薬の詳細につきましては、「シアリスの併用禁忌薬」の記事をご参照ください。
副作用
平均で59歳の1000人以上の男性が参加したタダラフィルの国際的な臨床試験が実施されました。 1000人以上の患者が1年以上、そして、1300人以上の患者が6か月以上、タダラフィルを服用しました。
その結果、服用方法を順守した場合、副作用はほとんど見られなかったと報告されました。
下の表は、プラセボ対照臨床試験で報告された最も一般的な副作用がまとめてあります。
副作用 | プラセボ, % | Tadalafil 5mg, % | Tadalafil 10mg, % | Tadalafil 20mg, % |
---|---|---|---|---|
頭痛 | 5 | 11 | 11 | 15 |
消化不良、胃弱 | 1 | 4 | 8 | 10 |
背中の痛み | 3 | 3 | 5 | 6 |
筋肉痛 | 1 | 1 | 4 | 3 |
鼻づまり | 1 | 2 | 3 | 3 |
火照り | 1 | 2 | 3 | 3 |
手足の痛み | 1 | 1 | 3 | 3 |